レガシーな理由(BIOS)

元祖「IBM PC」が発売されたのが、1981年。
所謂「互換機」の祖である「PC/AT」が発売されたのが、1984年。
それから30年近い年月を経てきた訳だ。


この間、PCの性能は驚異的に高まり、
周辺機器なども淘汰が繰り返され、
中身は全く別物と言っても良いくらい変化してきた。


ところが、BIOS に関しては、この30年間、
細かい改良は継続されつつも、
根幹を成す部分について、大きな変化はない。


極端な言い方をしてしまえば、現在の BIOS は、
ブートメディアの先頭1クラスタ(512Byte)分をロードする為だけにある。
後は、ロードしたプログラムに制御を移し、
基本的には、ここで、お役御免となるのである。
*但し、ロードされた IPL や OS から BIOS サービスを利用したり、
 ハードレベルの(電源管理等における)状態遷移処理などで、
 ちょこちょこ引っ張り出されたりはする。


ブートメディアも時代により主役が入れ替わり、
当初はフロッピーディスクが主流だった物が、
ハードディスクになりCD−ROMになり、
現在ではUSBメモリ等からのブートも可能になっている。
勿論ブートメディアとして利用する為には、
BIOSが対象メディアを認識・制御出来なければならない。
逆に言えば、BIOSが認識出来ないメディアからのブートは不可という事になる。
たかだか先頭1クラスタをロードするだけの処理ではあるが、
これが実行されなければ後に続くOS本体のロードもままならない訳で、
非常に重要な機能である事は間違いなかろう。


それだけ重要な機能であるが故に、
この30年間、大きな変化を許されなかったとも言えよう。
大きな刷新を行いたいのであれば、互換性を犠牲にする覚悟が必要となる。


それはそれで、ある程度、納得は出来るのであるが、
この為にBIOSから制御が移された直後はリアルモードとなる点が、
避け難い副作用としてつきまとう事になるのである。